群馬大学大学院医学系研究科総合医療学講座
教授
小和瀬 桂子
この度2021年11月1日付けで総合医療学の教授に就任いたしました。
当教室の沿革ですが、医学の進歩に伴い多くの診療科が臓器別となり、全国的に「総合的に診られる科」が必要とされ、1992年4月、群馬大学医学部附属病院(以下、附属病院)に院内措置として総合診療部が設置されました。1998年4月に文部科学省の正式認可となり、1999年10月に田村遵一医師が初代教授に就任いたしました。2004年4月に大学院講座化に伴い、大学院医学系研究科社会環境医療学講座の協力講座となり、2010年4月には総合医療学として正式講座となりました。また、附属病院の外来機能の強化と教育体制の充実を目的に、救急部と総合診療部を中心に、救命・総合医療センターが設置されました。現在は常勤医師4名と非常勤医師7名で附属病院の「入り口」として、外来診療を中心に診療しております。ご自身の症状がどの診療科に該当し、どの専門外来を受診したらいいか分からない方、なかなか解決しない健康上の悩みを持つ方など、特定の臓器や疾患に限定せず幅広い視野から総合的にとらえる診療をしております。また、東洋医学(漢方)と西洋医学の融和を目指した医療も実践しております。
さらに、学生・研修医・若手医師の教育にも力を入れております。卒前教育では臨床推論能力の育成を中心に、診断プロセスを大切にし、全人的に診る総合診療マインドを教育しております。総合診療医には、「日常的に頻度が高く、幅広い領域の疾病と傷害等について、わが国の医療提供体制の中で、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供すること(日本専門医機構より)」が求められております。超高齢化社会を迎え、総合診療を目指す医師を育てるということはもちろんですが、臨床推論能力を持ち、診療の場の多様性に対応し、連携を重視したマネジメント力のある総合診療的な考えを持った医師を増やすことが私達の使命と考えております。それには地域の医療機関・行政とも連携していくことが大切であり、現在、附属病院では総合診療専門医を育成するプログラムにおいて、数多くの地域の諸先生方のご協力を得て専攻医の育成を行っております。
また、当講座はワークライフバランスも重視しております。総合診療領域は患者様をとりまく背景や人生を含めた診療やその扱う疾患の多様性などから、医師自身の人生(ライフ)も大変重要であり、経験を活かした診療実践を通じてダイバーシティを発信できると考えております。
今後、総合的な視野で医療を行いたいと考えておられる先生方からのご連絡を心よりお待ち申し上げております。